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二人の高校生の話


 恋というのは「する」ものではなく、「落ちる」ものだと思っていた。運命の相手というのは、会った瞬間にそれとわかるものだと、おれは盲目的に信じていたのだ。「承花マッチングテスト」の結果を見るまでは。

 

 


「もう一回、君の結果見せてくれよ」

 

 ぼくのも見せるから、と薄紫ともピンクともつかない、綿飴みたいにやわらかそうな頭髪の友人は、おれの手から「承花マッチングテスト」の結果をかっさらっていく。

 

「……やっぱり、何回見てもぼく達マッチしてる」

 

 うーん、と横で考え込む十年来の友人は、今日からその肩書きが変わった。つまり、彼はおれの番いになったのだ。もっと詳しく言うなら、彼こそがおれに最適にマッチした花京院だということが、つい今朝になって判明したのだ。

 

「青い鳥と同じようなものなのかな」

 

 運命の相手というのは、意外と近くに居るものなんだなあ、と花京院はのんびり焼きそばパンを頬張りながら呟いた。薄く広い唇の横に、パン屑がついている。おれがそれを取ってやると、花京院は恥ずかしそうに頬を染めて、ありがとうと呟いた。

 

 彼は十七歳の「花京院典明」であるが、おれの隣の家に住んでいて、物心ついた時から常におれの側にいた。彼が小学校六年生まで、夜中に一人でトイレに行けなかったのをおれは知っているし、おれが中学三年のときに人生で初めて夢精したのを、最初に発見したのはたまたま家に泊まりにきていたこいつだった。

 

 花京院はおれにとって、もはや家族のような存在になっていたから、彼が自分とマッチングするなんて思ってもみなかった。花京院がどの「空条承太郎」とマッチしても、おれがどの「花京院典明」とマッチしても、二人の関係は一生変わらないのだろうと漠然と思っていた。だからまさか、おれ達が友人を飛び越えて番いになるとは、想像もしていなかったのだ。

 

 だが、花京院の方は違ったらしい。彼がぽつりと呟いた言葉に、おれは頭を思いきり殴られたような気がした。

 

「でも嬉しいな、ぼくずっと君のこと好きだったから」

 

 えへへ、とふにゃふにゃ笑う花京院は、自分の一房長い前髪を指に絡めては、くるくるとやっている。

「おい、今なんて言った」
「え?」

 

 花京院の細い肩を掴んで揺さぶると、彼は不思議そうな顔でもう一度前の台詞を繰り返した。

 

「だから、君のこと好きだったから、嬉しいなって……」

 

 承太郎、顔が怖いよ、と花京院は困ったように眉を下げた。

 

「……お前が、おれのこと好きだったなんて、知らなかったぜ。なんでもっと早く言わねえんだ」
「だ、だって……君、恰好いいし、ぼくばっかり好きでも、マッチするとも限らないと思って」

 

 好き、って伝えてもマッチしなかったら相性が悪いってことだろう、そんなの耐えられないよ、と言われて、おれは言葉に詰まった。十年以上一緒にいるが、普段からのほほんとしているこいつが、そんなふうに考えていたなんて知らなかった。

 

「でも、これからは誰にも気兼ねしないで、君と一緒にいられるから嬉しい……」

 

 ね、キスしてみようよ、と花京院が顔を近づけてくる。おれはその時はじめて、彼の睫毛が随分と長いことに気がついた。砂糖菓子みたいな肌理の細かな肌はほんのり桃色に染まっていて、わずかに開いた薄い唇にどきりとする。おれはふらふらと花京院に吸い寄せられて、そっと口づけを交わしていた。

 

「ん……」

 

 マシュマロのように柔らかい唇を食み、それからゆっくりと少しだけ舌を差し入れてみる。花京院は熱く濡れた感触に驚いたそぶりを見せたものの、ゆるゆると力を抜くとおれの首に腕を回し、舌を絡ませてきた。

 

「ふっ、ん、んんっ……♡」

 気持ちよさそうな花京院の声に、夢中になってキスをする。酸素が足りず、頭がぼうっとするのも気にならなかった。しばらくして花京院が背中を叩いてきて、しぶしぶ身体を離すと、彼はとろとろに蕩けた表情で身体をがくがく震わせていた。

 

「あっ、あ……じょ、じょうたろう、どうしよう……ぼく……」

 

 ぐずぐずとしゃくりあげる花京院の脚の間だけ、制服のズボンが色を濃くしていた。衣服の上からでも膨らんでいることがわかるそこに、おそるおそる触れてみると、指先に濡れた感触がする。おれは花京院のあまりのいやらしさにごくりと生唾を飲んだ。なんなんだこの生き物は。エロすぎる。

 

 はあはあと荒い息を零す花京院の耳元に、午後の授業、二人でフケちまおうぜ、と囁くと、彼は落ち着きなく視線を彷徨わせた後、こくりと頷いた。

 

 


 具合が悪くなったので、と言えば普段から優等生で通っているおかげで、花京院の早退はすんなりと認められた。おれはもともと素行が悪いので、どうせ教師にうるさく言われるだけだろう、と思って黙ってフケた。

 

 ふらつく花京院の腰を支えてやりながら、平日の真昼間であるために、誰もいない住宅地を歩く。時折無性に花京院とキスがしたくなり、路地裏に連れ込もうかとも考えたが、おれはなんとか我慢した。もうこの花京院は、承花マッチングテストを経て、正式におれの番いと決まったのだし、焦ることもないだろう。

 

 何度も訪れ、慣れ親しんだはずの花京院の部屋に入る時、ほんの少しだけ緊張する。後ろ手にドアを閉めると、部屋中に甘い花の香りが充満し、おれはくらくらした。

 

「あ、や、やだ……見ないで……」

 

 恥ずかしそうにもじもじと膝を擦り合わせる花京院を、おれはなんとか宥めすかし、下着ごとズボンを脱がせてしまう。

 

「……お前、やっぱりさっきはキスだけでイっちまったのか」

 

 べとべとに濡れた色素の薄いすんなりとしたペニスに触れると、ねとりと白濁が糸を引いた。粘ついた体液を亀頭に塗り広げるように、ぐりぐりと指先で先端の小さな穴を苛めてやると、花京院がうろたえた声を出す。

 

「あっ、あっ♡だめ、じょうたろ、それだめっ」

 

 頭を振る花京院に、手を止めずにどうしたと問いかけると、彼は菫色の瞳に涙を浮かべていた。

 

「き、きもちよすぎて、またでちゃう、からぁ……っ♡」

 

 花京院は射精しないようにだろう、自ら性器の根元を戒め、短い呼吸を繰り返していた。おれは花京院のあまりのいやらしさと可愛らしさに、倒れてしまいそうになる。今までどうして気付かなかったのだろう。普段からお互いの距離が近すぎて、よく見えていなかったのだろうか。おれは過去のまぬけな自分を殴りたくなった。

 

「おい、花京院、我慢するな……」

 

 必死に射精を耐える花京院は、うつろな瞳でふうふうと荒い息を零していた。おれは花京院がペニスを押さえるのに両手を使っているのをいいことに、学生服とぴんと糊のきいたシャツをはだけさせる。誰にも踏み荒らされていない新雪のような肌の上で、可愛らしい桃色をした乳首が、ツンと尖って自身を主張していた。おれはふらふら彼の胸に吸い寄せられると、左の乳首を口に含んでいた。

「あ、ひっ♡や、やだぁっ♡ちくび、すっちゃやだぁっ♡」

 

 のたうつ花京院を無視して、おれはわざと大きな音を立てて彼の胸を吸った。もう一方の乳首は指で優しく転がしてやると、花京院は子猫のような可愛い声をしきりにあげ、ちらりと盗み見た彼のペニスはだらだらと先走りを溢れさせていた。

 

「あ、あ―っ♡あ―っ♡」

 

 薄い唇から唾液を零し、焦点のあわない瞳で腰をくねらせる花京院は壮絶な色気があった。おれはこんなにいやらしく素晴らしい彼が、今まで誰にも奪われることなく健やかに成長し、そしておれの番いであると定められたことを神に感謝した。

 

「花京院……くそっ、本当に可愛いな……」
「ひぃっ♡ひんっ♡」

 

 花京院は爪先をぎゅうと丸めて、さっきからびくびくと痙攣し続けている。花京院の痴態に、おれの理性はガラガラと音を立てて崩れ落ちていき、おれは彼の脚を大きく開かせると、慎ましやかな後孔に顔を埋めていた。

 

「はぁぁっ♡あっ、やだ、やだぁっ♡」

 

 可愛らしい桃色の蕾に舌を這わせれば、花京院が前髪を振り乱し、太腿を引き攣らせる。ねっとりと舐めあげて潤いを与えてやると、そこはおれを誘うようにヒクヒクと蠢いた。

 

「このくらいか……?」

 

 しばらくの間、舌先と指でしつこく解せば、花京院の後孔は縁をぽってりと腫らして、柔らかく綻び始めた。当の本人は過ぎる刺激に叫び疲れたのか、腹の上を精液で汚したまま、くったりと四肢を投げ出している。

 

「ふぁ……あ、ひ、ひぃん……っ」

 

 くぱぁ、と尻たぶを広げても、花京院はもう抵抗する気力も残っていないようだった。ふーっ、と小さく口を開けた蕾に息を吹きかけてやると、それだけで花京院は簡単に精液を噴き上げた。

 

「んんっ、あ、あ―っ♡」

 

 とろんとした目でおれを見上げる花京院は、たまらなく可愛かった。おれは彼の会陰にペニスを擦りつけながら、めちゃくちゃに抱いてしまいたい衝動を抑えるために、必死で自分の太腿に爪を立てていた。

 

「はぁっ、なあ、かきょういんっ……すきだ、いれて、いいか……」

 

 つんつん、と彼の後孔をペニスの先端でつついてやると、花京院は早く欲しいと言わんばかりに、へこへこ腰を振った。

 

「うん、ほしいっ、じょうたろの、おちんちん、ほしいよぉっ、はやく、いれて……っ」

 

 発情した獣のように、花京院は淫らなダンスを踊っておれを煽る。それだけで射精してしまいそうになるのをなんとか堪え、おれは腹に力を入れると、一息に花京院の中にペニスを突き立てた。

 

「んあっ、あぁぁぁあっ♡」

 

 ずぷん、と彼の尻に全てが飲みこまれたのを確認すると、おれは間髪をおかずにガツガツ腰を打ちつけた。花京院はひいひい喘ぎ、彼の後ろは初めて受け入れる他人の熱を、ぎゅうぎゅう締めあげてくる。おれは絡みつく粘膜の柔らかさと心地よさにうっとりと溜息をつき、自分の形を覚えこませるために、花京院の奥を繰り返し激しく突き上げた。

 

「ひいっ♡ひっ♡はうぅぅ♡こわれる♡ぼくのおしり、こわれちゃうよぉっ♡」

 

 イク、イク、とピストンのたびに泣き叫ぶ花京院の乳首を強く引っ張り、イけよ、とおれは呪文のように彼の耳に囁いた。花京院は魔法にでもかかったように、おれの律動に合わせて薄い精液を撒き散らし、開きっぱなしの口からは嬌声が千切れ飛んだ。

 

「あ―っ♡イク、またイク♡じょうたろの、おちんちんで、イっちゃう♡おしり、ずぽずぽ、きもちいぃっ♡」

 

 脚をめいっぱい大きく開き、おれの背に縋りつきながら、花京院はつい先ほどまで処女だったとは思えないほど淫らに身悶えている。おれは彼の尻の形が変わるほど、何度も強く腰を叩きつけ、込み上げる射精の予感に低く呻いた。

 

「かきょういん、なかに、だすぞっ」
「うんっ、うん♡だしてっ、ぼくの、なか♡」

 

 せーし、ください、と舌ったらずに花京院は強請り、おれの腰に脚を絡みつけ、ぎゅうぎゅう絞りあげてくる。

 

「くっ……」
「んんぅっ、あうっ♡んあぁぁあっ♡」

 

 強烈な絶頂の快感に、一瞬天地がわからなくなる。彼が自分のものだと知らしめるように、大量の精液を花京院の中に注ぎ、それでもまだ足りずに、射精の間中腰を振り続けた。花京院はおれの底知れぬ欲望を健気に受け止め、恍惚と喘ぎながらひくひくと身体を痙攣させた。

 

「あぁ……っ♡はあ……♡」

 

 快楽に浸り、夢でも見ているかのような気持ちよさそうな表情で、花京院は満足げな溜息をつく。おれは彼のあまりのいやらしさに自分を止められず、その後も体位を変えて、欲望のままに彼を抱き続けた。何度も執拗に彼の中で精を放ち、ふと我に返った時には、花京院はおれの下で気を失っていた。

 

「ふ……っ」

 

 ずる、とペニスを抜き取ると、長時間苛めぬかれた花京院の後孔は完全に閉じることができず、どろりと白濁を溢れさせる。執拗に摩擦され続けた蕾の縁は、ぷっくりと盛り上がって淫らだ。男を知らなかった無垢な花京院の身体を、いやらしい雌の身体に変化させたことで独占欲が満たされ、無意識に口角が上がる。

 

 激しい性行為に汗ばんだ花京院の首筋に、顔を埋め甘く歯を立てると、薄い皮膚一枚を隔てて、ドクドクと彼の脈を感じる。ゆるく噛んでやれば、花京院が小さく唸るので、おれは獣が傷を癒すみたいに自分で付けた歯型の痕を舐めてやった。

 

「う、うん、う……」

 

 荒い息を零し、ぴくぴくと身体を震わせる花京院が可愛くて、少しも歯止めが効かない。散々射精して精巣が空になったのだろう、もう白濁を零すこともできない、くたりと芯を失った花京院の性器を優しく揉んでやると、彼の唇から甘い声が漏れた。

 

「っあ、あ、あぅ……」

 

 意識を失ってもなお、おれの愛撫に敏感に反応を返す花京院は、壮絶な美しさがあった。また際限なくむくむくと欲望が湧きあがってきて、おれは勃起したペニスを彼の薄い唇にぐいぐい押しつけると、低く呻いて花京院の顔に精液を放った。

 

 


 散々セックスして泥に沈むように眠った翌日、おれは花京院の家から二人で登校することにした。花京院はたっぷりと時間をかけてシャワーを浴び、精液の匂いがしないかどうかをしきりに気にしていたが、彼の纏う雰囲気が昨日までとは違ううえに、筋肉を変に痛めたのか、生まれたての小鹿みたいにひょこひょこ歩くので、彼がおれのものになったことは誰の目にも明らかだろう。

 

 退屈な授業の間中、腰が痛いのかしきりに椅子の上でもぞもぞ動く花京院を見ていると、可愛さのあまり抱きしめたくなる。しばらくの間、尻の位置を調整していた花京院は、おれがにやにやしながらじっと見つめているのに気がつくと、顔を真っ赤にして君のせいだぞ、とひそひそ囁いた。

 

「おめーが可愛い声で煽るのが悪いんだぜ」
「だ、だって……ずっと、君のこと好きだったんだぞ……」

 

 興奮しない方がおかしいだろ、と睨んでくる花京院の目がほんの少し潤んでいる。おれの一挙一動に揺れる青紫の瞳に、おれは劣情を駆り立てられて、素早く彼の頬にかすめるようなキスをした。

 

「じょっ……見られたら、どうするんだっ」
「誰も見てねーよ」

 

 それより帰ったら覚悟しておけよ、と耳に吹き込んでやると、花京院は言葉に詰まって恥ずかしそうに俯いた。

 

 


「や、やっぱり、その、今日もするんだな……」

 

 半ば引きずるようにして連れ込んだおれの部屋で、ベッドの上に花京院を転がすと、彼はうろうろと視線を彷徨わせた後、観念したように力を抜いた。

 

「き、君の好きにしてくれ……」

 

 これから先の行為を予想して、ぎゅっと目を閉じる花京院が可愛い。昨日はあんなに乱れに乱れていたくせに、一日経って恥ずかしくなったのか、ふるふると身体を震わせている。

 

 シーツを握って荒い息を零す花京院の、真っ赤な耳を甘噛みしてやると、彼はくぅん、と子犬のような声を漏らした。

 

「あ、あっ……みみ、やだ……っ」

 

 形の良い耳を舌で舐めあげ、ふーっと息を吹きかければ、面白いように花京院の身体が跳ねる。シーツの波の上でのたうつ彼は、人魚みたいで綺麗だ。

 

 花京院のきちりと着込まれた制服の上はそのままに、ズボンと下着だけを片脚にひっかけさせて、おれはベルトを緩めると性急にジッパーを下ろした。中途半端に脱衣した状態の彼のやわい尻の間に、猛ったペニスを押し付けてやると、花京院はあからさまにうろたえる。

 

「あっ、なに、や、やぁ……っ」

 

 制服を着たまま、彼の秘部にしとどにローションを垂らし、欲望に任せて彼の中に飛び込む。散々おれを覚えこませたそこは、嬉しそうにきゅうきゅうペニスに纏わりつき、奥へ奥へと物欲しげに蠢いた。

 

「は……っ、やわらけえ……」

 

 とろとろだな、と笑うと、花京院は髪を振り乱して身悶えた。昨日まで処女だったというのに、間をおかずに何度も抱いたせいで、花京院の内壁はとろりと潤み、ふんわりと柔らかく熟れている。

 

 数時間ぶりにおれを咥え込んだ粘膜は、快楽を与えてくれる肉棒を逃すまいと貪欲に絡みついてきた。

 

「すっかり、おれの味、覚えちまったな……」

 

 お前の中、最高だぜ、と囁けば、花京院は恥ずかしそうに顔を手で覆ったが、彼の後孔は素直におれのペニスをきゅん、と絞り上げた。

 

 昨日は初めてのセックスに興奮してガッついてしまったが、今日はほんの少しだけ余裕のあるおれは、じっくりと時間をかけ、丁寧に花京院の中を掻き回してやる。

 

 彼の好きなところばかりをしつこく擦り、快楽を呼び起こしてやると、花京院は最初のうち、必死に声を殺していたが、徐々にスイッチが入ってきて、可愛らしくあんあん喘ぐようになった。

 

「あっ、あ、あぁんっ♡ひ、ひんっ、しゅごい♡きもちいよぉっ♡じょうたろうの、おちんちん♡すき♡だいすき♡はあっ、おっきくて、かたくて、きもち……♡」

「花京院、よかったな、おれも気持ちいいぜ……おれに挿れてもらって、嬉しいか?」
「うん、うんっ♡ぼくの、おしり、ふ、ふぁ、あんっ♡じょうたろうに、おちんちん、いれてもらって、あ、あうっ♡すっごーく、きもちいいって、よろこんでますっ♡あ、あ、ああっ♡」

 

 花京院は快楽に酔ったとろんとした表情で、おしり、きもちいい、と何度も繰り返した。

 

「あ、ああっ♡あん、あっ♡おちんちんで、なか、ぐちゃぐちゃに、してもらうの、すき、すきっ♡ああ♡あっ♡」

 

 恍惚と喘ぐ花京院の奥をめがけて、おれは激しく腰を打ち付ける。花京院はなんだかんだ言って、こんな風に乱暴に最奥を突かれ、おれの雌にされるのがすっかり気に入ってしまったようだ。

 

「オラ、中に、出してやるからな……っ、零すなよっ」
「あ、ああっ、せーし♡じょうたろの、あったかせーし♡あ、あんっ♡なかにくださいっ♡ぼくの、なか、いっぱい、たねつけしてっ♡」

 

 逃げられないように体重をかけて花京院を押さえ込み、彼のまろい尻の形が歪むほど、強く重いストロークで奥を突いてやると、花京院の背が弓なりに反る。彼は堪らないというようにぎゅっと目を瞑り、悲鳴を上げて四肢を暴れさせた。同時に彼の粘膜がぎゅうぎゅうおれのペニスを絞り上げ、おれは低く呻くと彼の中に大量に精液を注ぎ込んだ。

 

「あ―っ♡せーし、きた♡ああ♡っあ♡あったかぁい♡あ、あん♡あひっ♡びゅーびゅーすごい♡あ、イク♡またイク♡ああぁぁあっ♡」

 

 おれが中に放つのと同時に、花京院が体を強張らせ、全身をがくがくと痙攣させた。彼の腰回りの筋肉が不規則に震え、おれの腹の辺りに濡れた感触が広がる。

 

「は……っ、種付けされて、イっちまったのか?」

 

 花京院は蕩けきった顔で、しばし絶頂の余韻に酔いしれていたが、いい子だな、とおれが彼の頭を撫でてやると、嬉しそうにおれの手に頬擦りしてきた。

 

 おれは彼があんまり愛おしいので、衝動のままその薄い唇を食むように口づける。すると花京院はおれの首に手を回し、自分から積極的に舌を絡めてきた。互いに唾液を交換しあい、粘膜を擦り合わせる行為は、あまりにも気持ちよく、官能的でおれの頭をクラクラさせた。

 

「はあ……っ♡じょうたろ、すき……♡だいすき……♡」

 

 今までもこれからもずっと好き、と花京院はうっとりと呟いた。長い脚をおれの腰に絡め、彼は明確な意図を持って、リズミカルに何度もおれを締め付ける。

 

「ねえ、まだ抜かないで……もっとして、おねがい……」

 

 おれの欲を煽るように、可愛らしくふりふりと腰を振る花京院が愛おしくて、脳の神経回路がごっそり焼き切れる気がした。おれは望むところだ、と彼に告げて、すぐに奔馬のように駆け出し、花京院はおれの下で、全身を震わせて歓びを表した。

 

 


 結局、あれから互いに何度も求めあい、満足してようやく体を離した時には、既に日付を跨いでいた。飲食も忘れ、獣のようにセックスに溺れていたのがおかしく、おれ達はくすくす笑ってしまう。

 

 性欲が満たされると今度はひどく腹が空いてきて、夕食なんだか夜食なんだかよくわからない時間に、二人で買い置きのインスタントラーメンを食べた。承太郎もカップ麺なんて食べるんだね、と感慨深そうな花京院に、この安っぽい味がたまに食べたくなるんだぜ、と言えば彼はわかるよ、としきりに頷いていた。

 

 簡単な食事を終えた後も、何故だか二人とも興奮が冷めやらず、おれ達はベッドの上でお互いの体を使ってふざけていた。戯れにする軽いキスは、やけにしょっぱくてまた笑ってしまったが、彼の柔らかな唇の感触が心地よい。

 

 花京院は機嫌良くはしゃいでベッドの上を転がっていたが、少しするとやけに大人っぽい表情で、おれの腕の中に収まってきた。どうした、と問えば彼はおれの胸に顔を埋め、幸せすぎて怖くなっただけ、と呟いた。

 

「初恋は、実らないって言うだろ。だから、君とは番いになれないかと思っていた」

 

 君のことが好き、と苦しそうに吐き出した花京院は、やがて小さく啜り泣き始めた。

 

 おれは花京院のことを、強く賢く、一人でも立派に地面に足をつけて生きている、誇り高い人間だと思っていた。だから今、そんな彼の脆く弱い部分を見て、胸が締め付けられる思いがする。一体いつから、花京院は誰にも言えない思いを抱えて、一人で苦しんでいたのだろうか。

 

「花京院、花京院……おれも好きだ。一生大事にする……」

 

 だから泣くな、と彼を抱きしめると、腕の中からうん、と小さな返事がある。花京院は時折背中を震わせながら、嗚咽を漏らし続け、おれは彼がおれに比べてずいぶんと小さく、か細く、頼りないことを知る。丸められた背中を撫でながら、おれは花京院のことを一生かけて幸せにする、と神に誓った。

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