波の音をぼんやりと聞きながら、ぼくは目の前の恋人のペニスに舌を這わせた。
砂の上に横たえた裸の体が火照るのは、太陽によってじりじりと肌を焼かれるだけではなく、承太郎の手がぼくの頭を優しく撫でているせいでもあった。
ニューヨークの不動産王である、ジョースターさんが所有するプライベートビーチに、ぼくと承太郎は夏休みを利用して遊びに来ていた。
誰もいない砂浜で、一糸纏わぬぼく達は、朝から晩までお互いの身体を使って遊んでいた。
「承太郎、またいれたい」
いいだろ、と恋人の血液を集めて硬くなったペニスを扱きながら強請ると、上機嫌な彼がぼくの身体を引き上げる。
彼の腹を跨ぐような格好になったぼくは、尻に押し当てられる確かな熱に笑みを深くした。
「好きにしていいぜ」
オラ、とからかうように尻の上を撫でていくペニスに、ぼくは臍のあたりがきゅう、と疼くのを感じた。
さっきからさんざん可愛がられてきた後孔に、承太郎の性器の先端がちゅぷ、と再び埋め込まれる。ぼくは自分の手を彼のペニスに添えると、ずぷずぷとそれを胎内に飲み込み、深く長い恍惚のため息をついた。
「あ──……すごい……きもち……」
奥まできてる、と教えてやると、承太郎の口角が持ち上がる。
体をくねらせるようにして腰を振ると、彼も気持ちよさそうに目を細め、時折気まぐれに下からぼくを突き上げた。
何度も何度も、数え切れないほど繰り返し彼と身体を重ねてきたが、人目も気にせず野外で交わるのは初めてのことだった。
恥も知らず、乾いた音をたてて上下運動を繰り返すぼくたちは、まるで獣のようだ。
「ああっ、あっ、ああっ」
ぼくは壊れたレコードみたいに、意味のなさない嬌声ばかりを繰り返し、腰を振りたくった。
承太郎に開発されきった後孔は、嬉しそうに涎を垂らして、彼のペニスにまとわりつき、きゅうきゅうと締め上げている。
「中、すげー熱いな…」
いいぜ、と低く掠れた声で囁かれて、ぼくは嬉しくなり、彼をもっと悦ばせようと淫らなダンスを踊り続けた。ぼくが犬だったら、千切れんばかりに尻尾を振っていただろう。
火照った粘膜と粘膜を擦り合わせるこの行為は、何度味わってもたまらなく気持ちいい。
慣れ親しんだ承太郎の性器の形を味わうように、ぼくは目を瞑って彼と繋がっている場所に感覚を集中させる。
「あ、はあっ、あ……じょうたろの、おちんちん、きもち……」
汗とローションと精液でぐずぐずになった結合部は、境界さえも既に曖昧になっている。
ぼくの内側の襞が、承太郎のペニスを離すまいと絡みつく。熟れた前立腺を、ペニスの張った部分でコリコリと刺激してもらうと、気持ちよすぎて意識が飛んでしまいそうになる。
快楽に負けて、緩慢になってきたぼくの動きに焦れて、承太郎が体を起こし、体勢を逆転させた。
「あ、ああっ」
ぐーっと奥までゆっくりペニスを押し込まれ、形を覚えこまされた後に、中をこじ開けるように激しく楔を打ち込まれる。
汗みずくの肉と肉がぶつかり合ういやらしい音の向こう側に、かすかに波の音が聞こえる。
寄せては返す海のリズムに、原始のセックスもこんな感じだったのだろうか、とぼくは熱に浮かされた頭でぼんやり思った。
「あ、あんっ、あ、あ、そこ、すき……っ、あ、んっ、いい、きもち……」
足をめいっぱい開き、承太郎のペニスを少しでも深く受け入れようと、ぼくは必死になる。
体の奥深く、芯の部分を、承太郎の熱でもって書き換えられていく。
快楽の波を呼び起こされ、それは体の中で複雑にぶつかり合い、うねり、増幅されていく。
ぼくは承太郎を受け入れる肉の筒になり、全身を歓喜でわななかせた。
「あ、ああ、も、イクッ、でちゃう、あ、じょうたろ、あ、ああっ」
重いピストンで何度も奥を穿たれ、絶頂に追い立てられる。
限界を訴えて彼に縋りつけば、一緒に、と囁かれた。
「おれも、もう、でちまう……」
はあっと耳元に承太郎の熱い吐息がかかる。目の前がチカチカと明滅する。
ぼくは快楽の波に抗わず、迫り来る絶頂の予感に身を任せた。
「あ、イク、じょうたろ、すき、あ、あんっ、ああっ、あ〰︎〰︎〰︎〰︎っ」
ずん、と奥を突かれ、思わず承太郎の腰に絡めた脚にぎゅうと力が入る。
くっ、と息を詰めた承太郎がぼくの中でペニスを震わせる。脈打つそれがぼくの中に精液を注ぐ間、ぼくも自身の性器からだらだらと白濁を漏らしながら、体を痙攣させていた。
「あ、あふ……」
奥の方でじんわりと熱が広がっていく。どく、どく、と承太郎のペニスはたっぷりとぼくの中に遺伝子を送り込んでくる。
後孔は奥に引き込むように蠢き、中に出してもらった精液を嬉しそうに飲み込んでいる。放ったあともぼくの粘膜に馴染ませるようにゆるゆると腰を振る承太郎は、なかなかに独占欲が強いと思う。
「じょうたろ、だっこ……」
切れ切れに請えば、隆々と筋肉の盛り上がった太い腕に強く抱きしめられる。
体の中に承太郎の確かな存在を感じながら、こうやって抱き合う時間がぼくは一等好きだ。
「だいすき……」
唇を触れ合わせれば、おれも好きだぜ、と彼が呟く。
ぼくは胸のあたりがぽかぽかと温かくなり、贅沢な余韻に浸る。
応えるように彼の大きな背中に腕を回しながら、ぼくは自分のことを世界で一番幸せな男だと思った。
おしまい