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※水○敬ランドパロディです。広い心で読んでください。

男でもホルモンバランスが狂うと母乳が出る、ということは知っていたが、まさかそれが自分の身に起こるとは思わなかった。


ぼくは「承花ランド」で働く「花京院典明」であるが、お客様を喜ばせようと毎日フリーセックスにいそしんでいたら、ある日突然両胸から乳白色の液体が出るようになった。べたべたと体を濡らし、ほんのりと甘い味のするその液体は、成分を調べた結果、なんと母乳であることが判明した。
びっくりしてそのことを上司に報告したところ、ぼくはなぜか大層褒められ、ランドのエントランスで身体チェックをする係から、「ふれあいパーク」でお客様に新鮮なミルクを提供する係に配置替えになったのだった。

 

「見ない顔だな」

 

ほとんど布面積のない牛柄の衣装に、赤い首輪を嵌め、母乳が漏れてしまわないように両乳首に小さなカウベルつきのクリップを付けたぼくに最初に声をかけたのは、30歳くらいだろうか、白いコートを纏った「承太郎」だった。透明度の高い湖のような、澄んだ緑色の瞳はぼくに対する好奇心で子供のように輝いている。

「可愛い子牛だな……喉が乾いたのだが、ミルクをもらえると嬉しいのだが」

彼の爪が戯れにぼくの乳首を引っ掻くと、カウベルがちりん、と音を立てる。ベルの重みでみっともなく肥大した乳首は、その小さな刺激にすら敏感に反応し、興奮したぼくは大きく体をくねらせ、はしたなく後孔を疼かせた。

「もちろんです……」

どうぞ、と促すと、承太郎はクリップをそっと取り外し、ぼくの左胸にじゅう、と音を立てて吸い付いた。散々カウベルに引っ張られた乳首を熱い口腔粘膜で優しく包まれ、うっすらと膨らんだ胸をやわく揉まれて、思わず声が漏れる。

「あ、あっ……♡」

承太郎に吸われている乳首のあたりが、ツンとした鋭い感覚の後にじわじわと火照りだす。同時に何かが抜けるような感じがあって、甘い幸福感がぼくの脳をとろけさせた。あ、と思った時にはもう、ぼくの乳首からはとめどなくミルクが溢れ出していた。

「あ、おっぱい、きもち……♡はあ……っ、あ、あっ、あんっ♡」

射乳の快楽に身悶えていると、いつの間にか承太郎の手がぼくの脚の間に伸ばされていて、胸を吸われただけでガチガチに勃起したペニスを優しく撫でられる。かさついた指先が性器のくびれた部分を何度も擦るのがたまらなく気持ちよくて、大きく骨ばった手に押しつけるように腰を動かすと、彼がくすりと笑うのがわかった。

「随分我慢がきかないな……そんなに動くとミルクが溢れてしまうだろう」

なあ、と吸われていない方の乳首をクリップごと捻られて、しかしそんな乱暴な愛撫さえ、抱かれ慣れた体はいともたやすく快楽に変換してしまう。ぼくは淫らなダンスを踊るように腰をくねらせ、承太郎の愛撫を強請った。

「あぁっ、あっ♡ごめんなさいっ♡あ、それ、すき、もっと……」

りん、りん、とこの淫靡な空気に似つかわしくない、高く清らかベルの音がぼくの思考を霧散させる。癖の強い髪に指を絡ませ、彼の顔をぼくの胸に押しつけると、意図を察した承太郎が期待通りに乳首を甘噛みしながら強く吸い上げてくれた。

「〰︎〰︎〰︎〰︎っ♡」

瞬間、甘美な電流が全身を駆け抜け、ぼくは背を弓なりにしてガクガクと四肢を震わせた。頭の中が真っ白になり、体がマグマでも流し込まれたみたいに熱く燃える。射精に伴う途方も無い快楽がぼくを襲い、声にならない叫びがあがった。ぼくの意識はいともたやすく吹っ飛ばされ、空中を彷徨い、ついでものすごい力強さで体に引き戻された。何かがぼくを貫いている。

「あ、あ……♡」

熱く硬い剛直で、体を割り開かれる感覚に下を見ると、大きく開かれたぼくの脚の間に承太郎が入り込んでいる。彼はぷっくりとしたセクシーな唇をぺろりと舐め上げると、ふむとひとりごちた。

「ココナッツの甘みと、チェリーの酸味と、それを包み込むミルクのまろやかさが素晴らしいな……」

君は最高だ、と耳元で囁かれ、その低く掠れた声に思わずぎゅう、と後ろが締まる。すると中のペニスの脈打つ鼓動、その血潮の温かさ、そして表面に走る血管の凹凸の一つ一つを強く意識してしまい、ぼくは背を仰け反らせ甲高い喘ぎ声をあげた。

「ああっ♡」

びくん、と体を跳ねさせると、承太郎がぼくを逃さないように押さえつけ、ゆっくりと深いストロークで腰を使い出す。熱く熟れた粘膜を掻き回され、ぼくは承太郎が与える快楽の虜となり、わけもわからず嬌声をあげ続けた。

「あ、ひ、ひんっ♡それ、すごい、おちんちん、あつい、あ、ああっ、あっ♡」

承太郎の広い背に縋り付くと、彼の動きが一層激しくなり、ペニスの出っ張ったところが丁度ぼくの好きな部分をごりごりと擦り上げた。ぼくは体をくねらせ大騒ぎし、両胸からだらだらと溢れたミルクが二人の体を濡らす。ほのかに甘いその香りが、ぼくの思考と理性をどんどん奪っていく。ぼくはただの快楽に飢えた一匹の獣になり、恥も外聞も忘れ、承太郎のペニスに夢中になった。

「あっ、あんっ、あっ♡おく、きもちっ♡もっと、もっとして♡」

彼の腰に脚を絡ませて強請れば、承太郎は強烈なピストンでもってぼくに応えてくれる。体の内側のやわらかく敏感な部分を引きずり出されるような、深く重いストロークにぼくは狂い、何度も体を痙攣させた。

「ああっ、あっ、あ、あ、ふあぁっ♡」

承太郎の腕に強く抱きこまれ、突き上げられるままに嬌声をあげるぼくは、彼専用のあたたかな肉の筒になったような気分だった。何も考えられず、ただただ彼に奉仕し、彼を楽しませるだけの純粋な存在になったぼくは、解き放たれた自由な生命の炎だった。

「あ、ああっ、きもち♡おしりずぽずぽ、きもちいいっ♡」

彼と繋がったところから引っ切り無しに立つ水音が、承太郎とぼくの境目を曖昧にさせた。二つの体は一つの完璧な生命体となり、ぼくは自分の体の内部に彼を感じる喜びでどうにかなってしまいそうだった。

「あっ、あっ♡じょ、じょうたろも、ひっ、ひんっ♡ちゃんと、きもちいいっ?」

口の端から唾液を溢れさせながら、切れ切れに問えば、美しい緑の瞳がぼくを見つめた。承太郎はセクシーな眉を切なげに顰めて、欲に掠れた声でああ、と頷いた。

「もちろん、君の中は最高に、気持ちいい……」

油断してるとすぐに持っていかれそうだ、と耳元で囁かれ、ぼくは嬉しくなっていっそう彼のペニスをぎゅうぎゅう締め付ける。すっかり雌になったぼくの体で、彼が気持ちよくなってくれることが、誇らしく光栄だった。

「あん、あっ♡うれしいっ♡もっと、きもちよくなって♡ぼくのこと、すきにしてっ♡」

じょうたろう、と名前を呼ぶと、彼のペニスがぐん、と質量を増すのがわかる。体の内側をごりごりと抉られるような力強い律動に、ぼくは振り落とされないと彼にしがみついた。

「あっ、あっ♡じょうたろぉっ♡ぼく、もうだめっ♡いく、いっちゃうよぉっ♡」

襲い来る絶頂の予感に、ぎゅううと体に力が入る。もう目を開けていられなくて、必死に叫べば、承太郎がおれも、と小さく漏らした。

「かきょういんっ、おれも、もうでちまう……」

中に出すぞ、と宣言されて、ぼくは何度もだして、と彼を促した。坂を駆け上がるようにピストンが激しくなり、粘膜を擦りあげられ、体の中を掻き回されて、ぼくは全身を震わせて強烈な絶頂を迎えた。

「あ︎︎︎〰︎〰︎〰︎っ♡あ︎〰︎〰︎〰︎っ♡」

プシュ、と馬鹿になったぼくの性器から、精液が何度か跳ね上がり、乳首から溢れ出たミルクが臍のあたりで水たまりをつくっていた。

「くっ……」

絶頂を迎えたぼくの後孔が搾り取るように蠢いたせいか、承太郎も限界を迎えたようで、彼はぼくの尻を鷲掴んで自分の腰にぐりぐり押し付けると、ぼくの一番深く奥まったところに、大量の熱を流し込んだ。
ぼくは腹の中で彼のペニスがどくどく脈打ちながら、精液を注ぎ続けるのを感じながら、意識を失ってしまった。

 

目が覚めるとぼくはどうやら救護室に運ばれたようで、四方をカーテンで区切られた簡易なベッドに寝かされていた。体は行為の後で重だるかったが、心は妙にふわふわと落ち着きがなかった。あんなに自分を見失い、のめりこんだセックスは初めてだった。体がまだぽかぽかとあたたかい。
またあの人に会えるだろうか、と溜息をついたぼくは、自分が掌に何か握っていることに気がついた。おそるおそる視線をやると、ぼくの手の中には鍵と小さなメモが入っており、そこには承花島の海辺に近い町の住所と、また会いたいというメッセージが走り書きされていて、ぼくは自分の口角が上がってしまうのを止めることができず、ごろごろとベッドの上を転がったのだった。

おしまい

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