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JKリフレ


連日の仕事にすっかり疲れきり、倒れこむように家に帰ると、エプロン姿の花京院が出迎えてくれた。
玄関にまで、旨そうなシチューの匂いが充満している。おれは花京院のいる我が家の、あたたかな空気に涙が出そうになった。

 

「承太郎、お疲れさま……」

 

ご飯もできてるし、お風呂も沸いてるけど、どうしようかという彼に、お前が欲しい、と言えば、花京院はぱちぱちと何度か瞬きをし、視線を彷徨わせた後、恥ずかしそうに目を伏せた。

 

「わ、わかった……君、毎日、頑張っているもんな……」

 

顔を真っ赤にした花京院から、それじゃあこれから選んでくれ、とメニュー表のようなものを渡される。チェリーのシールが貼られた、ピンク色の紙の上には、キス、ハグ、といったかわいいものから、手コキ、フェラ、セックスといった卑猥な単語までがずらりと並んでいた。

 

「オ、オプションも、要相談だけど、交渉できるから……」

 

君の好きなようにしてくれ、と言われて、おれは花京院のそのいじらしさに倒れそうになった。
とりあえずキスしてくれ、と言えば、花京院は素直に目を閉じて背伸びをし、おれの唇に自分のそれを軽く重ねた。

マシュマロのような柔らかい感触の後に、ちゅっと音を立てて花京院が離れていく。

「……もしかして、その、し、舌もいれるやつかい」

おれのセーターの胸のあたりを掴みつつ、上目遣いに尋ねてくる花京院の姿は、それはもう言葉では言い表せられないほど可愛い。
そうしてもらえるとありがたい、と声が震えないように気を付けながら返せば、花京院は薄く口を開けて再び口づけてきた。

 

「ん、ん……ふ……」

 

ちゅくちゅく、と淫らな水音を立てながら、花京院は一生懸命に舌を絡めてくる。
濡れた粘膜を触れ合わせる行為は、何度味わってもひどく心地よくて、おれの頭をぼうっとさせた。

 

「ふ……んん……」

 

花京院はおれを気持ち良くさせようと、歯列をなぞってみたり、唇を吸ったり、色々と工夫を交えて頑張っている。
おれは口内に侵入してきた彼の舌を、時折じゃれるように甘噛みしながら、薄目でそんな花京院の可愛らしい姿を堪能していた。

 

「んっ……ふ、ふぅ、んん……」

 

長い口づけのために上手く呼吸ができず、吐息のように漏れる花京院の声が愛しい。
チェリーを転がすのはあんなに得意なくせに、キスはなかなか上達しないのが、彼をより魅力的にする。
辛抱堪らず、するりと彼の細腰を撫でると、ぴくりと花京院の身体が跳ねた。

 

「あっ……」

 

驚いて離れた彼と、おれの間にいやらしく銀糸が引いた。
染み一つない、目の前の真っ白な首筋に目を奪われ、ついしゃぶりつくと、花京院が甲高い声を上げる。

 

「承太郎っ、そ、それ以上するなら、ぼくはベッドじゃあないと嫌だっ」

 

魚みたいにばたばたと暴れる身体を宥め、おれは注文の多い恋人を横抱きにすると、大股で寝室まで向かう。

花京院はおれが歩く振動だけで、期待したのか脚の間を痛いほど張り詰めさせていた。

 

平均より体格の良い男二人が、夜毎縺れあってもびくともしないキングサイズのベッドに、恋人を押し倒すと、花京院がもどかしそうに身体を擦りつけてくる。
おれより二回り小さな体は、想像もできないほどの欲と熱で果実のように熟れ、甘い芳香を放ち、おれを夢中にさせた。

 

「あ、あっ……じょうたろ……」

 

乱雑にベルトを外し、下着ごとズボンを脱がせると、花京院の性器ははしたなく勃ちあがり、だらだらと先走りを零していた。
充血したそれを強めに扱きながら、ひそやかな後孔を優しく解してやると、暴力的な快楽と甘く狂おしい喜悦の間で花京院は悶え、シーツの上で美しく踊る。

 

「ああ、あ、あっ、やだ、やっ」
「おいおい、なにが嫌なんだ……」

 

こんなにしてるくせに、と真っ赤な耳に囁くと、花京院がおれの首にすがりついてくる。

 

「ぼくばっかりやだ……っ」

 

君も気持ち良くなって、と花京院が噛みつくようなキスをする。彼の細く長い脚がおれの腰に絡み、強く引き寄せられた。

 

「ねえっ、いれて、おねがい」

 

くに、と先端が彼の中に飲みこまれる。熱く濡れた柔らかい感触に、おれはもう何も考えられず、そのまま腰を突き入れていた。

 

「ふあぁぁぁっ」

 

ずん、と最奥まで一息で突きあげると、腹のあたりに何かぬるい感触がある。見れば、挿入の衝撃に花京院が吐精したようだった。
しかし、おれもペニスに纏わりつく内壁に夢中で、彼を気遣う余裕などなかった。

 

「あ、あっ、あんっ、あ、あっ、すごい、きもち、あ、あ、あっ」

 

がつがつと余裕なく突き上げるたびに、花京院の口から嬌声が千切れ飛び、彼の身体が不規則に痙攣する。
彼の身体を上から押さえつけ、征服するように奥を穿てば、おれと彼の身体の境などなくなってしまったかのような感覚に陥る。

 

「はあ……っ、花京院っ、すきだ、あいしてる……」

 

中に出すぞ、と形の良い耳に息を吹きかけると、花京院が何度も頷く。
ぎゅうぎゅうとより一層絞めつけが強くなり、おれはあまりの快楽に眩暈がした。

 

「じょうたろ、あ、ああっ、すき、ぼくも、だいすきっ、はあ、ああっ、あ、あんっ、も、もう、ぼく、また、でちゃうよぉっ」

 

ああ、ああ、と菫色の瞳を潤ませ、頬を上気させて花京院が喘ぐ。
誇り高く、賢く、美しい一輪の花は、他ならぬおれの前でだけ、淫らに咲き誇る。

 

「かきょういんっ、おれも、っく……」

 

受け止めろよ、と細い腰を鷲掴み、限界までペニスを突き入れる。ばつん、とおれの下腹が彼の尻に打ちつけられる乾いた音と共に、おれは彼の胎内に大量の精液を注ぎ込んだ。

 

「あぁぁぁぁああっ」

 

同時に花京院の身体がのけぞり、びくびくと後孔がペニスに纏わりつくように蠢いた。
中に出された瞬間に彼も射精したらしく、呼吸で激しく上下している胸の所まで、精液が飛び散っている。

 

「は、はひ……」

 

すごかった、と少し舌ったらずに伝えてくれる花京院が愛しく、ぎゅうと強く抱きしめると、腕の中で彼が笑う。

 

「……疲れは取れたかい」

 

もちろんだぜ、と返せば、花京院が機嫌よさそうに口角を上げる。

 

「……ところで、イったばかりで悪いが、もう一回いいか」

 

全然治まらねえ、と勃起したままのペニスを示せば、望むところだよ、と恋人が情熱的なキスをしかけてくる。
おれはにやりと笑い、再び彼の中に飛び込んだ。


おしまい

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