top of page

花京院の体温はとても低いので、毎晩俺が温めてやる必要がある。

それは毛布の上から抱きしめたくらいじゃあ全然効果がない。

 

だから俺も花京院も裸になり、肌と粘膜とで熱を交換するのだ。

 

 

 

花京院の指を口腔に含み、舌でなめあげると、彼は目を閉じて眉間にしわを寄せる。

彼の指先は氷のような冷たさで、ふれあった部分がしびれていく。

 

形のよい爪を甘くかむと花京院の口から短い吐息が漏れ、ちらと盗み見ると彼は我慢ならないのか、空いている方の手で自分のゆるくたちあがったペニスをしごいている。

俺は花京院の指から口を離し、文句を言った。

 

「勝手に一人でするんじゃあねえ」

「だって、さっきから指ばっかり…こっちもさびしいんだ。君のも気持ち良くしてあげるから、いいだろ?」

 

蟲惑的に笑い、花京院は俺の方に長い脚をのばしてくる。そして冷えた左右の足の裏で俺のものをはさみこむと、器用にこすりあげる。

 

「つめてえ」

「君のはすごく熱いよ、溶けそうだ」

 

じわりじわりと俺の熱が花京院に伝わってゆく。

花京院の足は的確に俺を翻弄する。

こいつの舌は信じられないほどよく動くが、足も同様だったようだ。

DIOとの戦いで負傷し、あまり歩くことのなくなった足はすべらかで、つるりとしていて、絹の手触りに似ている気がする。

 

限界が近い。

彼の脚に欲望を吐きだすのもいいが、それでおさまりがつくはずもない。

俺は花京院の踵をつかむと、ぐいとひきよせた。バランスをくずした花京院がベッドに倒れる。

 

「ちょっと何するんだい」

「足じゃあ満足しないんでな」

 

俺はサイドテーブルからローションをとりだすと、体温の低い彼のために掌で温めてやる。

すでに花京院の先走りが伝って、ぬめる蕾にたっぷりとぬりこむと、少し力をいれただけの俺の指がのみこまれていく。

 

何度も浅い部位で抜き差しを繰り返し、わざと卑猥な水音を立ててやる。

耐えるように目を強くつぶっている、花京院にも聞こえるように。

 

次第にだんだんと透明なローションが泡だち、白みを帯びていく。

それとは対照的に、花京院の青白い体が、ほんのりとピンクに染まり、花がひらくように彼の秘部がほころんでくる。

俺はそれに気を良くして、指でぐるりと中をかきまわすと、花京院の口から甘い声がもれた。

 

「じょ、承太郎・・・お願いだ、もう、いれて・・・」

「堪え性がねえな」

 

俺がいじわるく、緩慢な刺激を与えていると、花京院が泣きそうな顔になる。

 

「もっといやらしく誘ってみろよ花京院。てめーならできるだろ」

 

指を引き抜いて、強く尻をたたくと、花京院がひっと声をあげる。

 

「やらねーと、いつまでもこのままだぜ」

 

俺が自分から動かないと悟ると、花京院はうらめしげな目を俺に向けた。

そしてぎゅっと唇を噛み締めると、花京院は自らの両手で尻を割り開き、しとどにぬれそぼった穴を俺に見せつける。

 

みずみずしい桃色の粘膜が、収縮を繰り返している。

それは朝露に濡れたバラの花弁のようだと、俺は思う。

 

「じょ、承太郎の、大きい、お…おちんちん、僕の、い、淫乱な、お尻の穴に、いれて、めちゃくちゃに、してっ…」

 

最後はほとんど叫ぶように台詞を言い切ると、花京院の顔が真っ赤に染まり、目にはじわりと涙が浮かんだ。

俺は愛らしい花京院に、よくできたなと呟くと、彼の待ち望んだものを一息につきいれた。

圧迫感に花京院が息を呑むが、慣らされた彼の体はすぐに俺を受け入れる。

 

「ああっ、じょ、たろ、きもちいっ、うあっ」

「そりゃ、よかった、なっ」

 

花京院は恍惚とした表情で、体を震わせている。

だらしなく開いたままになった、彼の人よりも大きな口からつたう唾液を舌でなめとると、自身を強くしめあげられた。

じんと太ももの辺りがしびれ、もって行かれそうになる。

 

「おい、急に、しめつけんじゃあ、ねーぜっ…」

「だって…びっ、びっくりして、あっ、だめ、そんなに、いやだっ…」

 

仕返しとばかりに動きを速め、彼の左の乳首に噛み付くと、花京院が俺の腰に脚をからめようとする。

激しい律動を少しでもゆるめようとしているのだろうか。

しかし俺の突き上げにそれもかなわず、彼の長い脚はむなしく揺れるだけだ。

 

「だめ、も、おねがい、ひっ、ま、まって」

 

花京院が俺の肩にすがりつき、いやいやと頭を振っている。

彼の爪が背に食い込み、ちりと熱を帯びる。傷口に汗がしみて、鋭い痛みを与えるが、脳髄までとけるような快楽の前には些末なことだった。

俺は狂ったように腰を打ちつけた。

 

「さっきから、だめだの嫌だの、ちょっと、だまってろっ」

「ひっ―――ほんとに、まって、いっちゃう、からっ、あっ、あああっ――」

 

花京院が悲鳴を上げ、彼の腹がびくびくと波打つのを、体の下で感じる。

全身に力がみなぎり、羽が生えてどこまでも飛んでいけるような高揚とした気分になる。

痙攣し続ける花京院にかまうことなく、俺は荒々しく楔を打ち込み、普段の彼の体温からは考えられないほど、熱く燃え滾る肉に包まれて、最奥で精を放った。

 

 

 

「承太郎」

 

と、情事でかすれた声で花京院が俺を呼ぶ。

 

「いってる時は、苦しいから、少し待ってねって、前に言ったよね」

「そうだったか?」

 

俺がそしらぬ顔でとぼけると、花京院はむくれた顔をした。

 

「ひどいよ。僕の言うこと、全然聞いてくれないんだから」

 

花京院がするりと俺のほうに身を寄せる。

花京院じゃあなかったら、うっとーしいだけだが、不思議なほど彼の体は俺に良くなじむ。

 

俺より二回りほど小さな花京院を抱き寄せて、よりいっそう密着させると、彼の体がしっとりと汗ばんでいるのがわかる。

花京院の髪に顔を寄せ、肺いっぱいに空気を吸い込めば、セックスの後の彼からは花の蜜のような香りがする。

 

「…次からは、なるべく気をつけるぜ」

「…ありがとう」

 

ちらと花京院をのぞきみると、彼は眠たいのか、とろんとした目をしている。

子供にするように花京院の頭を優しくなでると、彼はくすぐったそうに笑った。

 

いつまでも花京院が寒がりだといいと俺は思う。こうやって、熱を求めて俺を頼るといい。

おだやかな寝息をたて始めた花京院をだきしめ、俺もそっと目を閉じた。

 

おしまい

 

 

bottom of page