注意書き
最初、M太郎がハイヒールを履いたS院に踏まれて喜んでます。
しかし、途中でジョブチェンジしてS太郎×M院になります。よろしければ、どうぞ。
おれは自分が変態だということを、よくよく理解している。
しかし、おれが欲情するのはこの世界でただ一人だけであるし、おれが変態だと知っているのもそいつだけである。
だから問題はないはずだ。
「は?」
と花京院は嫌そうな顔を隠しもせずに、おれに聞き返した。
だからおれは至極真面目な顔で、先程と同じ台詞を繰り返さねばならなかった。
「このハイヒールを履いて、おれのを踏んでくれねえか」
ほれ、と踵が13㎝もある、恐ろしく実用性のない赤いエナメルの靴を差し出すと、おれの恋人は更に眉間にしわを寄せた。
「嫌だよ、大体こんな靴履けるわけないだろ」
と花京院が文句を言うので、おれは
「大丈夫だ。ちゃんとお前の足に合うように作らせている」
と彼に教えてやった。
しかしその言葉に花京院は喜ぶどころか、汚いものを見るような蔑みを込めた目でおれを一瞥した。
その冷たい視線にぞくぞくと快感が背筋を這い上がり、おれの性器は激しく勃起した。
「君って本当に信じられないくらい変態だな」
大きく膨らんだおれの脚の間を見て、花京院はそう吐き捨てる。
しかし彼のズボンの中も、同じように反応していることをおれは知っている。
おれたちは互いによく似た恋人同士であった。
仕方ないなあ、と形ばかり呟いて、花京院は下着ごとズボンを脱ぐ。
上に丈の長いクリーム色のニットを着ているせいで、彼のペニスは際どいところで見ることが叶わない。
おれはそのことに少しがっかりした。
しかし焦らされれば焦らされるほど、その後にやってくる快楽がより甘美さを増すことを知っていたので、おれは我慢した。
花京院はそれからゆっくりと、清潔感のある真っ白な靴下を取り去り、爪まで美しい足を優雅な仕草でハイヒールの中に収めた。
踵も爪先も、広い甲の部分もぴったりとサイズのあったその赤い靴は、花京院によく似合っていた。
慣れないヒールに花京院はよろけたが、すぐに調子を掴むとコツコツと高い音を立ててその場を一周した。
「へえ、すごいな。君と同じくらいの高さになった」
君って普段、こういう風に物が見えているんだな、と花京院は無邪気に笑う。
しかしすぐにちろりと舌で唇を舐めると、
「じゃあ、踏んであげるからベッドに寝転がってくれよ」
一転して笑みを蠱惑的なものへと変えて、おれにそう言った。
ハイヒールによる勾配は、すらりと長い彼の脚を更に美しいものへと昇華させる。
目に痛いほどのつややかな紅色が、花京院の日に焼けていない白い肌によく映えていた。
「あんまり痛めつけて、使い物にならなくなったら困るなあ」
そう言いながら、花京院は窮屈そうにズボンを押し上げているおれの股間を見、爪先をその上でゆらゆら遊ばせながら狙いを定めていた。
脚を上げているせいで捲れ上がったニットの裾からは、ちらちらと色の薄い花京院のペニスが見え隠れしている。
彼はおれを気遣うような台詞を吐いているが、おそらく内心ではどう踏めば一番ダメージを与えられるか考えているのだろう。
あの尖った爪先に花京院の体重をかけられたら、一体どれほどの痛みと快楽が襲うのか、想像するだけでおれのペニスはだらしなく涎を垂らし、ズボンの色をそこだけ濃く変えた。
期待にズボンを膨らませる、犬のようなおれを見つめる花京院の目はひどく淫らに光っていて、薔薇色に紅潮した頬へ落ちかかる一房長い髪が、一層彼を退廃的に彩っていた。
「…じゃあ、いくね」
と小さく呟くと、彼は全く躊躇せずにおれのペニスを踏みつけた。
瞬間、目が裏返るような激痛が脳天を突きぬけ、息が止まる。
鋭い強烈な痛みに、獣のようなうめき声が漏れ、おれは体をのけぞらせた。
「承太郎、痛い?大丈夫?」
花京院は楽しそうにそう尋ねてくるが、おれの口からはヒューヒューとか細い、息とも声ともつかないものが漏れるだけだ。
がんばって、となんの励ましにもならない台詞を吐くと、彼はまた緩急をつけてリズミカルにおれのそこを踏む。
ぐいぐいと男の体で一番無防備な部分を踏まれ、ガタガタと体が震えだす。
しかしおれのそこは硬度を保ったまま、嬉しそうに先走りを漏らしていた。
「あっ、そうだ。君のおちんちんの上に乗っちゃえば、もっと気持ちいいかもね」
素晴らしいことを思いついたというように、花京院は胸の前で手を合わせてうっとりと呟いた。
「ズボンの上からじゃあ、刺激が弱いかなあ…」
下、脱ごうか、と花京院はにっこりと笑いながら、ベッドの上にしゃがみ込んでおれのズボンに手をかけた。
ずるりと脚からズボンが抜かれると、この後に待ち受ける凄まじい刺激を想像して、ガチガチに固くなったおれの性器があらわになる。
「うわあ、もうベトベトだね。やらしいなあ」
花京院はおれのペニスを握ると、えいえいとシューティングゲームのコントローラでも操るかのように前後に動かした。
背筋を駆け上がる純粋な快楽に思わず呻くと、花京院は子供のように目を輝かせる。
「すごい、もっと大きくなった」
嬉しそうに笑ったあとに花京院はすっくと立ち上がると、
「じゃあ、そろそろいいよね?」
と可愛らしく首をかしげ、おれのペニスの上にそっと足を乗せ、そしてもう片方の足をベッドから離した。
「〰〰〰〰〰〰〰〰っぐぅ!!」
花京院の全体重が一点にかけられる激烈な痛み、内臓を直接鷲掴まれるような痛みに、目の前が真っ白になる。
しかし気を失いそうな痛みは瞬時に快楽にすり替わり、おれは獣のような咆哮を上げて、勢いよく射精していた。
「うわ、わ、わ」
びくびくと痙攣するおれの体の上で花京院はバランスを失い、おれの胸へと倒れた。
びゅるびゅる、と吐きだされた大量の白濁が、花京院の靴を、脚を、服を汚していく。
ああ、気持ちいい。
美しい花京院をおれの精液で汚す、背徳的な喜びにおれは震えた。
しかし、彼の中に突っ込んで思うさま揺さぶったなら、もっと気持ちいいに違いない。
「あっ、ひどい!この服、気にいってたのに…どうしてくれ、ん、む、ぐぅ」
気にいりのニットに精液を引っ掛けられ、文句を言う花京院の唇をおれは乱暴にふさいだ。
体重をかけて彼の体をひっくり返し、ベッドへ沈める。
「ちょ、ちょっと…なんでまた大きくしてるんだ!どけろよ!」
絶頂の余韻に気怠い体を叱咤し、逃げられないように花京院を抑え込む。
我慢できずに、何も身につけていないまろやかな内腿を掌で撫であげれば、彼の体がびくりと跳ねた。
「うあっ…いやだ、やめろよっ」
じたばたと花京院は必死に暴れるが、彼のペニスは勃ちあがって可愛らしくふるふると震えている。
ぎゅうと根元を握ってしまうと、花京院は体を強張らせた。
「いやいや言ってるくせに、ここは正直じゃあねえか…花京院」
なあ、と形のよい耳にそう吹き込むと、花京院はおれの体を弱弱しく腕で押した。
「ち、ちがう…これは、その…違うんだ」
「何が違うんだ?…教えてくれよ、おれにわかるように、たっぷりとよ」
ちゅ、ちゅ、と彼の首筋にキスを落とすと、花京院の体から力が抜ける。
彼の性器を強めに擦り、粘液を滲ませる先端に親指をめり込ませるようにすると、花京院が甲高い悲鳴を上げた。
「ひっ…やぁっ、あ、ああっ」
ぶるぶると彼が頭を振り、ゆるやかに巻かれた髪が猥らに揺れた。
小さな、しかししっかりと芯を持って勃ちあがった乳首に吸いつくと、花京院が鼻から抜けるような甘い吐息を漏らす。
そろりと性器を握っているのと反対の手で、彼の蕾を撫でても花京院はもう抵抗しなかった。
「気持ちいいか?」
おれにいいように翻弄され、ぼうっとなっている花京院にそう聞けば、彼は舌ったらずにきもちいい、と何度も繰り返した。
おれはそれに満足して、サイドテーブルからローションを取り出すと、シーツがべたべたになるのも気にせず、たっぷりと花京院の下半身にそれを垂らす。
ぐにぐにと花京院の後孔を指で慣らせば、普段からおれを受けいれているそこは容易に綻んでいく。
「んっ、ん、ん…ふぅ…は、はやく…じょうたろっ」
焦れたようにおれを求める花京院をよしよしとなだめつつ、おれは自分のペニスにもローションを纏わせる。
何度か扱いて十分な角度をつけた後、花京院のひくつく蕾にそっと自身をあてがった。
「いれていいか?」
とお伺いをたてれば、花京院がおれに脚をからませ、引き寄せる。
「いいからっ…はやく、いれてくれっ」
つるりと滑らかなハイヒールの表面を腰に感じ、おれはにやりと笑った。
「じゃあ、いれてやるぜ…ちゃんと、受け止めろよ!」
おら、と勢いよく一息に奥まで突き入れれると、花京院がひっと息を飲んだ。
「うあああっ…ふ、かぃっ、あっ、やだ、すぐ動かしたら…だめっ、あっ、ああっ」
間髪いれずに腰を打ちつけると、彼の体がぶるぶると震える。花京院の見開かれた瞳は、涙で潤んでいた。
「我慢しねえで、イっちまえよ」
そう言って、おれは追い立てるように激しく奥を穿つ。
同時に臍につくほど反り返ったペニスを扱いてやると、花京院は女のような高い声を上げてあっけなく吐精した。
「うあ、ああ…」
びくびくと彼の薄い腹が痙攣し、あまりの気持ちよさに持っていかれそうになるのを、なんとか耐える。
ふう、と一息つくと、おれはまたすぐに抽挿を再開した。
「あっ!?ちょ、だめっ…まだ、イって、あ、ああ、あっ、やだあっ」
こわい、やだ、まって、と繰り返す花京院に構うことなく、おれは思うさま腰を振りたくる。
激しいピストンにおれの腰から離れてしまった花京院の脚を、肩につくほど折り曲げれば、右足のハイヒールはどこかへ脱げてしまっていた。
左足の方も爪先にひっかかっているだけで、おれが動くたびに不安げに揺れている。
ゆらゆらとおれを誘うようなその尖った靴の先端に顔を寄せると、真新しいエナメルの匂いがツンと鼻に抜けた。
おれはそんな靴の香りでなく、花京院の匂いを嗅ぎたくて、乱暴に真っ赤なハイヒールを脱がせると、彼の形のいい爪先を口に含んだ。
裸足にハイヒールを履いていたせいで、汗ばんだ足をじゅう、と吸い上げると彼の締め付けが一際強くなった。
やだやだ、と余計に泣きじゃくって暴れる長い脚を抑え込んで、スパートをかける。
再び絶頂に追いたてられる恐怖に、きゅうきゅうと蠢く花京院の中に抗わず、存分に精を放てば気の遠くなるような悦楽がおれを襲った。
下腹から波及した電流が背筋を駆け上がり、脳髄がとろとろと溶けていく。
長く断続的な射精を終え、全身が甘くしびれる感覚に、ほう、とため息をつくと、花京院は自身の腹に点々と薄い白濁を零して気を失っていた。
「悪かった。本当に申し訳ない」
この通り、と意識を取り戻した花京院に謝ると、彼はきっとおれを睨みつけた。
「どうして何回もやめて、って頼んだのにやめないんだい?君は盛りのついた犬なのかい?」
彼がこうして怒りだしてしまえば、もうおれにできることは頭を低くして嵐が過ぎ去るのを待つことだけだ。
「すまない、もう二度とこういうことが起こらないように善処する。反省している」
「今度からは、ちゃんとぼくの言ったとおりにしてくれよ」
「わかった、そうする」
そう言いながら、花京院が次もおれとセックスをする前提で話していることに、心底安堵する。
なんだかんだ言って、おれたちは離れられない運命なのだ。
おしまい