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「君に抱かれるのを想像して自分で慣らしてたんだ…」

 

はしたないって軽蔑するかい、おそるおそるそう聞けば、がばと抱きしめられた。驚いて彼の腕の中で暴れると、承太郎が切羽詰まった声を出した。

 

「今のは完全におめーが悪い…」

 

惚れた奴にそんなこと言われて、興奮しないわけねえだろう。捕食者の目でぼくをとらえ、見せつけるように舌舐めずりして承太郎が迫ってくる。ぼくは彼が身にまとう空気に気圧されてしまって、ベッドの上を尻でずり上がった。

 

「おいおい、一人で練習してたんだろう…その成果とやらをちゃあんと見せてくれよ」

 

ふっと耳に息をかけられ、ぞくぞくと背筋が震える。ふぁ、と思わず鼻にかかった声を漏らすと、首を舐め上げられた。

 

「ほら、どうやってたか教えろよ…」

 

彼に手を取られ、尻に導かれる。ぼくは甘い承太郎の低音に頭がぼうっとして、何も考えられなくなっていた。

 

「あ…」

 

ローション、と呟けば、承太郎が口角を上げて、たらたらと会陰にぬめった液体をかけてくれる。ぼくは魔法にかかったみたいに、承太郎の目の前ではしたなく脚を開き、いつもやっているようにぬるぬると後孔にローションを塗り広げ、それからそっと指を差し入れた。

 

「ん、あ…あっ…」

 

くちくち、と指を動かすたび、卑猥な水音が立つ。浅い位置でぬぷぬぷと抜き差しすると、甘い悦びが下腹に渦巻いて、じわじわとぼくの性器は頭をもたげつつあった。湧き上がる快楽に身を任せ、うっとりと吐息を漏らす。承太郎はそんなぼくの様子を興味深そうに眺めつつ、時折ぼくの太ももに猛った雄を擦り付けていた。

 

「あ、あ…ふっ、ん、んあぁ…」

 

承太郎の熱い視線に焼かれ、ぼくは夢中になって中を掻き回した。未だ自分の指しか知らない後孔は、もっと逞しく、確かな熱を求めて物欲しげにきゅうきゅう疼く。もどかしく腰を揺らし、恥ずかしげもなく喘ぎ、ぼくは承太郎を煽る。

 

「じょ、たろ…もう、ぼくのここ…とろとろなんだ…」

 

ねえ、と己の手で尻を割り開き、ひくつくそこを彼に見せつける。さっきまで咥え込んでいた指を抜かれたせいで、後孔は切なげに口をパクパクさせ、そのたびローションがこぽりと溢れ出た。

 

「準備できてるから…そのおっきいの…いれてくれよ…」

 

ぼくのはじめて、あげるよ。そう言って笑いかけると、承太郎がぼくの腰を鷲掴む。

 

「本当にいいんだな…」

 

ふーっと獣みたいに長く息を吐き、彼がガチガチに硬くなったペニスを押し当ててくる。体重をかけて伸し掛かられ、欲望にギラギラした目で見下ろされて、いつも自慰のたび妄想していたのと同じ光景に、ごくりと喉が鳴る。ぼくはじっと彼の目を見つめ、それからこくりと頷いた。

 

「君の、はじめて、ぼくにください…」

 

言うや否や、ぐっと腰を突き入れられ、思わずぼくは悲鳴を上げて背を仰け反らせた。ぼくの指なんか比べ物にならないほどの、熱く、硬い、生身のペニスに粘膜をかき分けられ、一瞬意識が白く染まる。気がつくと、ぼくの胸には点々と白濁が散っていた。

 

「う、ぐ…」

 

頭上で承太郎が歯を食いしばり、息を詰める。ぼくの腹の中にじわじわと温かいものが広がっていく。

 

「あ、あ…」

 

ぎゅ、と承太郎に抱きつくと、優しく抱き返された。何度もキスをされ、体がふわふわする。好き、と告げれば、おれも好きだ、と余裕のない声で返された。嬉しくて、少しの隙間もないほどぴったりと体をくっつけ、彼にもっと気持ちよくなってもらいたくて腰を振る。

 

「すき、じょうたろ、だいすき…」

 

尻を擦り付け、中に入った彼を奥に引き込むように締め付ける。愛しさがこみ上げてきて、ジョースター家の証の星の痣にそっと口付ける。

 

「ぼくで、ん、んっ…いっぱい、きもちく、なって…」

 

そう言った途端、承太郎が激しく奥を突いてきた。ああ、と嗚咽を漏らし、振り落とされまいと彼にしがみつく。

 

「あ、あ、ひっ、ひぐっ、ん、んんんっ」

 

ぱちゅ、ぱちゅ、と肉と肉のぶつかる乾いた音が響く。自分の鼓動がやけにうるさく頭の中で反響し、体中の血が沸き立つ。承太郎が動くたび、むわりと香る雄の匂いに頭がくらくらした。

 

「しゅごい、あ、ああっ、きもちっ、あ、あはっ、こ、こんなの、ぼく、しらないっ」

 

承太郎とのはじめてのエッチが失敗しないように、一生懸命練習してきたのに、初めて味わう圧倒的なエネルギーを持った生身の承太郎の体に翻弄され、ちっぽけなぼくは為すすべもなく、凄まじい快楽の嵐に吹き飛ばされてしまう。頭のてっぺんから爪先まで、全身が甘く痺れてちっとも自分の思い通りにならない。

 

「ん、んんっ、ああ、あ、あっ、ふ、ふあぁ…っ」

「はっ…すげえ、搾り取るみたいに、絡みついてきやがる…っ」

 

ぼくを容赦なく責め立てながら、承太郎が唸る。太くセクシーな眉の間には深く皺が刻み込まれていて、彼は荒い息を零しつつ、汗を散らせながら腰を振りたくっている。ぼくは承太郎がちゃんと気持ちよくなっていることと、彼もまた余裕がないのを知って安心し、へにゃりと彼に微笑みかけた。

 

「じょたろっ、いっぱい、だしてっ…ぼくの、なかぁ…っ、あ、あ、ひぎっ」

 

ぼくも彼の動きに合わせて腰をくねらせれば、くそ、と承太郎が切羽詰まった声を出す。激しい音を立てて何度も突き上げられ、中を擦られ、ぼくは体を丸めて悲鳴を上げた。

 

「あ、ああっ、じょ、たろっ、ひ、ひんっ、イク、イクイク、イっちゃう…っ」

「オラ、いいぜ、イケよ…っ」

 

ぐっ、と一際強く、一番奥まで彼を飲み込まされて、一瞬息をするのを忘れる。目の前で閃光が走り、眩しさに驚いて思わず目を瞑る。ガタガタ背骨が震え、くぅん、と鼻にかかった情けない声が漏れた。ぼくの意志と関係なく全身が痙攣し、下腹に渦巻いた欲望がペニスから勢いよく弾け飛んで行く。ぞっとするような、経験したことのない快楽に飲み込まれてしまう。

 

「はーっ、はー…」

 

びゅるる、と承太郎に熱い飛沫を奥に打ちつけられている間、ぼくは絶頂の余韻にぐったりと体を弛緩させた。未だに、ひくひくと後孔は嬉しそうに承太郎の性器を締めあげ、一滴も精液を零すまいとぴったりと吸いついていた。

 

「は…」

 

ぶるっと体を震わせ、全てを出し切ったらしい承太郎がゆっくりとペニスを引き抜く。散々彼を咥えこんでいたぼくのアナルは、閉じ切らずだらしなく口を開けたままヒクついていた。

 

「もう、すっかりおれの形になったな…」

 

つつ、とぷっくり膨らんだアナルの縁を撫で、恍惚と承太郎が呟く。ぼくも自分のそこが彼の形に作り替わったのが嬉しくて、にっこり彼に微笑みかけた。

 

「もう、ぼくは君だけのものだよ…」

 

君もそうだろ、と彼の耳に囁けば、もちろん、と熱っぽい返事が返ってきて、ぼくはひどく幸せな気持ちになる。キスして、と強請ればすぐに願いは聞き遂げられ、ぼくは甘い空気に酔いながら、うっとりと目を閉じた。

 

おしまい

 

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