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「怖くて指も入れたことがないんだ…だから、君のが入るかどうか、わからない…」

 

上手く出来なかったらごめん、と頭を下げた瞬間、脚を引っ張られてぼくは為すすべもなくベッドに倒れ込んだ。驚いて見上げると、ふうふうと荒い息を零しながら承太郎がぼくに圧し掛からんとしていた。

 

「えっ、ちょ、ちょっと待って、怖い、ゆ、ゆっくり優しくしてくれよ」

 

必死に腕を突っ張って承太郎をのけようとすると、手首を掴まれて無理やりキスされた。

 

「今のは、お前が悪いぜ…惚れた男にこんなこと言われて、我慢できるやつがいるわけねえだろう」

 

覚悟決めな花京院、耳元でそう囁かれて、カッと体が燃える。承太郎の大きな掌が尻に伸びてきて、ひっと悲鳴が漏れた。

 

「なるべく、痛くねえようにするから…」

 

ぐぱ、と左右に割り開かれた尻の間に、とろりとした液体がかけられて冷たさにぎゅっと目を閉じる。ついで何やら熱い塊がそこに押しあてられ、塗り広げるようにぐちぐち、と会陰を上下に擦りあげる。そうされると下腹にどんどん熱が溜まり、むずむずして落ち着かない。

 

それを何とか我慢して、しばらくされるがままじっとしていたが、尻を抑えるのに両手がふさがっているはずなのに、雨のように降りそそぐ液体を不思議に思って、そっと目を開けると承太郎の分身――スタープラチナが現れていて、じっとぼくの脚の間を凝視しながら、ローションをしとどに注ぎたしているのだった。

 

「!!」

 

あまりの事態に思わず振りあげた脚を、承太郎はひょいと避けて、手のふさがってる彼の代わりに、スタープラチナが宥めるみたいにぼくの頭を撫でた。

 

「ス、スタンドを使うなんてずるい…!」

 

恥ずかしいからひっこめてくれ、と言えば、別にそいつもおれなんだから恥ずかしがらなくていい、と的外れな答えが返ってきた。だけどぼくがあんまり嫌がるので、承太郎は渋々スタンドを戻してくれた。

 

「ちゃんと慣らさねえと…」

 

ぬぷ、という音と共に圧迫感が襲い、ひぎゅ、とぼくの喉から変な声が漏れた。自分の脚の間で探るように手を動かす承太郎の様子から、思いきり広げられた後孔に彼が指を差し入れたのだろうことが推測された。

 

「ひっ、ひぃっ、ひんっ」

 

ぬちっ、ぬちっ、と彼の指が前後に動くたび、耳を覆いたくなるような水音が立つ。ぼくの尻はローションでどろどろになっていて、きっと部屋の照明を浴びて、てらてらといやらしく光っているに違いない。

 

「やあっ、やだぁっ…ゆび、かきまわすの、やめて…っ」

 

涙で顔をぐしゃぐしゃにして、そう懇願しても、承太郎はちっともやめる様子がなかった。彼はよしよし、とかもうちょっとだからな、とか声をかけながら、容赦なくぼくの粘膜を押し広げ、ほぐし、少しでも柔らかくしようと試みていた。

 

「全然広がらねえ…」

 

承太郎は辛抱強く、ぐにぐにとぼくの内壁を揉み、ぼくはそのたび髪を振り乱して身悶えた。一度も触れられていないのに性器は痛いほど張り詰め、臍につくほど反り返ってだらだら粘液を零していた。

 

「あ…あっ、ああっ、も、もう、いやだっ」

 

つらい、と彼の腰を脚で引き寄せれば、ごくりと承太郎が喉を鳴らした。

 

「もういい、もう、慣らさなくていいからっ…は、はやく、いれてくれっ」

 

頼む、切れ切れにそう懇願すると、承太郎に腰を抑えつけられた。ぐ、と尻の間に剛直があてがわれ、途方もない熱量を持ってぼくの体の中に押し入ってくる。

 

「ん、うぅんっ」

「っは…きっつ…」

 

ぽた、と承太郎の体から、汗が垂れてくる。ぼくも腹の中に熱い楔を打たれて息も絶え絶えであったが、承太郎も締めつけが苦しいのか眉間に深い皺を刻み、歯を食いしばって低い呻きを漏らしていた。

 

「じょ、たろ…っ、あ、は、はあっ」

「か、きょういんっ、ゆっくり、息しろ…」

 

大丈夫だ、と彼が大きな手でぼくの腹を撫でてくる。優しい低音と、じわりとあたたかなその感触に、ぼくは何故だか泣きそうになる。

 

「じょ、たろ…っ、き、すき…だいすき…っ」

 

少しでも近く触れあっていたくて、彼の背に必死に手を伸ばす。するとぼくの意図に気付いた承太郎が、覆いかぶさるように身を低くしてくれるので、ぼくは彼の太い首に縋りついた。

 

「苦しく、ねえか……っ」

 

きっと思うさま激しく動きたいだろうに、ぼくを気遣ってセーブしてくれる承太郎の優しさが、ぼくには嬉しかった。うん、と懸命に首を振り、体を摺り寄せる。

 

「ちょっと、きついけど…君と、こうやって、あ、あ…ひ、ひとつになれて…すごくうれしいんだ…」

 

じょうたろ、と舌ったらずに名前を呼ぶと、彼がぼくの髪に顔をうずめてきた。くすぐったくて思わず笑えば、少し緊張が取れたのか、ずず、と承太郎が奥深くに入り込んでくる。

 

「う、あっ…おっき…」

 

体の中を焼かれ、堪らずぼくの足がシーツを掻く。大して動いてもいないのに、はあはあと息が上がり、幸福な甘い電流が全身を駆け巡る。すごい。好きな人と繋がるのって、こんなに気持ちいいんだ。ぼくは恍惚とため息を漏らし、さざ波のように全身を震わせた。

 

「あ、ああ、あ……っ、じょ、たろ…う、うごいて、いい…うごいて、くれ…っ」

 

めちゃくちゃにしてくれよ。彼の下腹に尻を擦りつけそう頼めば、すぐにごりごりと中を彼のペニスが擦る。何度も何度も突き上げられ、視界が揺れる。海の上に居るみたいだ。激しい快楽の波に体を揺さぶられ、何も考えられない。

ああ、と甲高い声が上がり、背がのけぞる。目の裏で火花が散り、圧倒的な力で形骸を吹き飛ばされる。指先が痺れ、少しも力が入らない。獣のように叫び、ぼくは啼いた。

 

「ひ、ひぐ、ん、ん、んぎゅっ」

 

熱い、熱くて熱くて、ぼくの体がどろどろに溶けてしまう。承太郎はぼくの上でふーっ、ふーっ、と荒く深い呼吸を繰り返しながら、何かにとりつかれたみたいにガンガン腰を打ちつけていて、その快楽に耐えるようにしかめられた眉、引き結ばれた厚い唇が、ぼくの目にひどく性的に映る。さっきから彼のペニスが、ぼくの奥に引っ切り無しに当たっていて、そのたび粘膜が嬉しそうにきゅうきゅう承太郎を包み込むのを、ぼくにはどうすることもできなかった。

 

「あ、ああっ、あ、ひっ、な、なんかへんだっ、あ、イ、イク、イきそっ」

「お、れも…っ」

 

イっちまえよ、掠れた声でそう囁かれ、自分の意志とは関係なく、ぎゅうと体がこわばる。どんどん承太郎に追い詰められ、逃げ場がない。強大なうねりに絡め取られ、彼の首筋に爪を立てながら、ぼくは大きく体を震わせて絶頂を迎えた。

 

「ん〰〰〰〰っ」

 

びくびく、と勝手に体が痙攣し、視界が白く染まっていく。凄まじい喜悦が背骨を慄かせ、思わず体を丸めて承太郎にしがみつく。同時に動きを止めた承太郎が、ドクドクと腹の中に何かあたたかな液体を注ぎ、ぼくはぐったりと力を抜いてそれを受け止めた。

 

「ん…ふ、ふぁ…」

 

押しつぶされてしまうんじゃないかというほど、ぎゅうと強く抱きしめられ、幸せでぼうっとする。鼻にかかった息を漏らし、そっと承太郎を覗きこむと、子供みたいに嬉しそうな表情の彼に優しくキスをされた。

 

「ぼく、上手くできたかな…」

 

おそるおそるそう聞けば、ああ、と頭を撫でられた。

 

「…おれのほうこそ、下手じゃあなかったか」

 

不安げに尋ねてくる承太郎の顔が、あまりに深刻そうなので、ぼくは思わず吹き出してしまいそうになる。

 

「そんなことないよ…」

 

最高だったよ、内緒話でもするみたいにそっと教えてやれば、承太郎の耳がじわりと赤く染まる。照れたらしい彼に体をくすぐられ、ぼくは大きく口を開けて機嫌よく笑った。

 

おしまい

 

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