注意:剃毛プレイがあります
しょり、と泡を塗りたくられた肌の上を刃が滑って、僕は思わず身をすくませた。
「おい、危ねーから動くな」
そう言って承太郎が、長い足で僕を押さえ込む。
彼の骨ばった左手が皮膚を引っ張り、右手は器用に僕のペニスを避けながら、恥毛を剃りあげていく。
「じょ、たろ…ご、ごめん、なさい…ゆるして…」
僕はガタガタ震えて、涙を流しながら懇願した。
彼は「だめだね」とすげなく断ると、また手を動かし初める。
「おめーは危機感っつーもんがねえ。ホテルに連れ込まれそうになってんじゃねーよ」
しょり、しょり、と泡にまみれた赤毛が剃り落とされて、つるりとした肌が露になる。
そう、これは罰なのだ。
仕事でミスをしたから慰めてくれと乞われるままに、僕は同僚と酒を酌み交わした。
会は中々に楽しく、そのため僕はトイレに立った後、酒の味が変わったことに全く気づかずそれを飲み干した。
薬を盛られていたのだろう、酩酊した僕は、同僚に介抱と称して持ち帰られそうになっていた所を、承太郎に助けられたのだ。
「日本が長いから、平和ボケしたか?ああ?」
ぐち、と承太郎が萎えたままの僕のペニスを握りこむ。
恐怖と快楽がごちゃ混ぜになって、僕は悲鳴をあげた。
「ひっ…ごめ、ごめんなさいっ…もうしない、もうしないからっ…うああっ」
ぎゅう、と今度は乳首を強く捻りあげられて僕は体を強張らせた。
承太郎は爪を立てて、乱暴にそこを刺激した。
「謝りゃいいってもんじゃねーだろ、俺が通りがからなかったら、おめー食われてたぞ」
淫乱、と彼が吐き捨てるように呟いて僕の下腹にシャワーの水流が浴びせられる。
きめ細やかな泡が流れて、排水口に吸いこまれていく。
承太郎は満足げに、何も隠すものがなくなって子供のような僕の陰部を撫でた。
「よし、これでいいだろ」
「うっ…うう…ひ、ひどいよ…承太郎…」
承太郎はふっとペニスに息を吹きかけると、ゆるく勃ちあがりかけたその根元を掴んだ。
僕のみっともないすすり泣きが浴室に響く。
「浮気できねーように、名前書いとくか」
承太郎は柔らかなタオルで僕の肌をぬぐうと、しげしげとそこを見つめた。
ちっと待ってろ、と言って彼はどこかへ出て行った後、油性マジックを持って戻ってきた。
剃りあげられたばかりでピリピリと敏感な皮膚に、シンナーの匂いを振りまきながらマジックの先端があてられる。
力を入れて承太郎が線を引くたび、馬鹿馬鹿しく僕の陰茎が揺れた。
「空、条…承、太、郎…っと」
きゅ、きゅ、と音を立ててペニスの根元に彼の名前が書かれる。
僕は羞恥でどうにかなってしまいそうだった。
「ほんとにっ…ごめ、ごめんなさいっ…じょうたろ、ゆるして…」
「おい、おったててるんじゃねーよ、書きにくいだろ」
「うぅ…ひっく…じょ、たろっ…」
ぼろぼろと涙をこぼしながらも、僕のそこは完全に勃起していた。
体が熱い、承太郎が欲しくて欲しくてたまらない。
「もう、ぜってー俺以外と出かけたりするんじゃねーぞ」
「しないっ…もう、ぜったいしないからっ…」
だからはやく、と彼の耳に囁くと、承太郎はやれやれ、とため息をつきながら僕を抱きかかえた。
我慢できずに彼の首筋に手を回し、夢中でキスをすると彼が苦笑するのがわかる。
「こりゃあ仕置きが必要だな」
「あっ、あっ、ああっ…」
パンパン、と肉がぶつかる乾いた音が部屋に響く。
むき出しになったペニスからはだらだらと蜜が滴り、僕の腹を濡らしていた。
いつもよりも乱暴に奥を突かれ、僕はシーツを握り締めてその律動を耐えることしかできない。
「すげー顔…」
ほれ、見てみろと承太郎がベッドの前に置かれた大きな姿見を示す。
そこには、承太郎に後ろから思うさま揺さぶられて、とろけきった顔をした僕がいた。
「うああっ…やだっ、みないでっ…」
彼が動くたびに一房長い髪は面白いように揺れ、だらしなく開いた口からひっきりなしに嬌声が漏れた。
桜色に染まった僕の体は、汗とローションと二人分の精液でぐちゃぐちゃだ。
「いやいや言ってねーで、ちゃんと見ろ。気持ちいいんだろ?」
そう言って承太郎の手が、果実のように肥大した僕の乳首を引っ張った。
僕は思わず悲鳴を上げ、ぎゅうと中の承太郎を締めつけてしまう。
ふっと彼が息を詰めるのがわかって、背骨をゾクゾクと快楽の波が通り抜けた。
「急に、締めんなっ…くそっ」
悔しげに承太郎が腰を動かすスピードを速める。
ずん、と内臓を突き上げられる感覚に、天地がひっくりかえるような心地がする。
「ああっ、だめっ…しんじゃう、からぁ…」
がっちりと腰を掴まれて、承太郎に体内を掻き回される。
気持ちいいのか、苦しいのか、もう何が何だかわからない。
胸が痛いほど鼓動が激しく打ち、血液がわき立つ。
承太郎と繋がっている部分から、体がどろどろに溶けてしまいそうだ。
彷徨うように伸ばした指先が、ひやりと冷たいものにあたり顔を上げると、強大な力でねじ伏せられている自分が鏡に映っている。
獣のように僕に覆いかぶさる承太郎に、畏怖と同時にたまらない愛しさを感じながら、僕は鏡の中の彼を見つめた。
「じょ、たろっ…ああっ、すき、すきっ…君だけだ、君だけ…」
ぐちゅぐちゅと卑猥な音と共に犯され、もう膝を立てていられない。
女豹のように、上体をベッドに沈ませながら、必死にシーツを握る。
「花京院っ、花京院…」
「あっ、ああっ…も、もう、イクっ…うあああっ」
名前を呼ばれながら、ひときわ深く承太郎を刻み込まれ、びゅくびゅくと中に熱を注がれる。
その熱さに全身を震わせて、僕は獣じみた咆哮をあげて果てた。
情事のあと、ベッドに腰掛けて臍のもっと下、先ほどまで淡い茂みがあった場所に書かれた恋人の名前をなぞっていると、その恋人がぬうと腰に腕を回してくる。
ちら、と見やるとくしゃくしゃに髪を乱した承太郎が布団から顔を出し、恨めしげにこちらを見ていた。
「…あんま、心配かけんじゃねーぞ」
ぼそぼそと恥ずかしげに呟く承太郎の声に、僕もなんだか照れくさく、頬が熱くなってしまう。
彼の髪を撫でながら、うん、となんとか小さく答えると、僕はまたベッドの中へと引きずり込まれた。
おしまい