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花京院くんがどういう風に女の子を抱くのかが気になりすぎた承太郎くんが、花京院くんに合いそうな女の子を紹介してあげて、無事に童貞卒業したのを見届けてから、かっさらって花京院くんを自分の雌にする話が書きたい。

という呟きから生まれた作品です。
色々とお察しください。
地雷原多数だと思います、注意してください。

!花×モブ女、承×モブ女の本番があります!
!花→モブ女、承←モブ女です!泥沼です!
!承太郎病んでます注意!
でも最終的には承花。

彼女が好きだ。どこもかしこもいい匂いがするし、雰囲気がお菓子みたいに甘くて可愛らしい。顔も手も何もかもがぼくより小さく、繊細にできていて、優しくしてあげなくちゃとぼくに思わせる。

 

はじめてのデートで、薔薇色の唇に自分のそれを重ね合わせた時、興奮で倒れそうになったのを、今でも昨日のことのように思い出せる。恥ずかしそうに笑う彼女の笑顔を、いつまでも守りたいとぼくは思った。

 

ぼくたちは何度かの逢瀬を繰り返し、少しずつ距離を縮めていった。野辺に咲く小さな花のように可憐な彼女はとうとう、今日は親が居ないから、とおずおずとぼくを家に誘った。緊張しながらお邪魔した彼女の部屋は、ピンクを基調にまとめられていて、頭巾をかぶったうさぎのキャラクターのぬいぐるみ――名前を忘れてしまったけど――が置かれたベッドがいやにぼくの目に付いた。

 

ぼくの心臓は今にも口から飛び出してしまいそうで、握りこんだ拳にじっとりと汗をかいていた。彼女はベッドに腰掛け、隣にぼくを誘った。セーラー服のスカートから、すらりと伸びた脚が綺麗だ。

 

「花京院君」

 

と彼女は子猫みたいに甘い声でぼくを呼んだ。

 

「花京院君になら、私、何されてもいいの」

 

そう言って、彼女が制服のタイをするりと抜いた時、ぼくはもう我を失っていて、彼女を後ろのベッドに押し倒していた。やり方なんて微塵もわからなかったが、ぼくは制服をめくりあげると、発育途中の彼女のなだらかに膨らんだ乳房を揉んだ。彼女は切なげな声を上げ、ぼくの体に脚を絡ませてきた。

 

ぼくは脳の神経がごっそり焼き切れる気がしながら、彼女の名を馬鹿みたいに繰り返し呼んだ。事前のシミュレーションなどは、全く役に立たなかった。スカートのホックを上手く外せないぼくに、彼女は幻滅することもなく腰を浮かせて服を脱がすのを手伝ってくれる。ささやかなレースのついた白い下着を取り去ると、薄い茂みに覆われた彼女のそこは、しっとりと濡れてさえいた。

 

手間取りながら薄い避妊具を自身に被せ、彼女の体の内側に入り込んだ時、ぼくの体の下で小さな悲鳴を上げる彼女が愛しかった。技巧も何もなく、発情した獣のように腰を振り、ゴム越しに熱を吐き出した時、ぼくは熱に浮かされた頭で、一生彼女を大切にする、と自分に誓った。

 

それが彼女との最初で最後のセックスになると知りもしないで。



 

次の日、はじめてのセックスに夢見心地のまま登校したぼくは、クラスの中に彼女を見つけるとぎこちなく側へと向かった。おはようといつもよりは上擦った声で挨拶をすると、なぜだか彼女はひどくよそよそしかった。

 

「お、おはよう、花京院君……」

 

目を合わせることもなく、さりげなく彼女は僕から距離をとる。引き攣った笑みを浮かべ、それじゃあ、と逃げるように女の子の集団の中へ紛れていく彼女を、ぼくは呆然と見守るしかなかった。



 

「なあ、どういうことだと思う?」

 

放課後、浮かない気分のまま、ぼくは友人である承太郎の家に転がり込んでいた。ぼくのヒーローであり、命の恩人であり、ぼくと彼女を引き合わせてくれた承太郎。

 

女の子が苦手な彼が、わざわざ彼女とぼくの恋のキューピッドになってくれたのを、ぼくはひどく感謝している。ん、と無駄なことは一切話さず、いつものクールな表情を崩さないまま、彼女がぼくにあてたラブレターの仲介をしてくれた承太郎。彼はぼくの唯一の恋愛相談の相手であった。

 

硬派で、常に女の子に囲まれて、きゃあきゃあ騒がれて、女なんてうっとーしいだけだ、と口癖のように言っている承太郎はしかし、ぼくが彼女の話をしても、いつも面倒くさがらずにじっくりと話を聞いてくれた。ぼくの恋愛がうまく行くように、親身になって的確なアドバイスをくれる彼に、その、彼女には悪いと思うのだが、ぼくは彼女と昨日初めてセックスをしたこと、そうして彼女の態度が今日になって一変したことを話したのだった。

 

承太郎はしばらくじっとぼくの話に耳を傾け、それからゆるく長く、煙草の煙をふーっと吐き出した。トレードマークの帽子が彼の顔に影を落としていて、その中で緑の瞳が真夏の太陽みたいに激しく、ぎらぎらと光を放っていた。

 

「知りたいか?」

 

承太郎の問いに、ぼくは一も二もなく頷いた。

 

「知りたい」

 

承太郎の言葉は絶対だ。ぼくが恋愛で相談したとき、彼の助言は常に正しかった。教えてくれ、と彼に詰め寄ると、承太郎は1本のビデオテープをとりだした。

 

「なんだいこれ」

 

いぶかしがるぼくに、承太郎は無言でテレビを顎で指し示した。ぼくは彼に促されるまま、ビデオデッキにそれが飲み込まれていくのを、じっと見守った。

そうして、数秒の砂嵐の後に、ぼくの目前に広がったのは信じられない光景だった。

 

「な……」

 

テレビの画面に映し出されたのは、昨日のぼくと彼女の性行為だった。裸の体を絡めあって、ベッドの上でぼくと彼女が動物のように交わっている。一体なぜ、誰がこんな……

 

「驚いたか?」

 

ショックに声も出ず、呆然とするぼくに、承太郎がひどく優しい声で話しかけてくる。

 

「昨日、お前があの女を抱いた時、部屋のクローゼットが少し開いていたのに、気が付かなかったか?」

 

ひゅっ、と知らずぼくの喉が鳴った。まさか、まさかそんな。背筋を悪寒が走り抜け、暑さのせいではない汗が流れ落ちる。思わず振り向いて見た、その瞬間の承太郎の顔を――ぼくが友人と信じて疑わなかった男の顔を――ぼくは一生、忘れないだろう。

 

承太郎は、ぞっとするような美しい笑顔で、ぼくを見つめていた。欲しいものを手に入れた無邪気な子供のようでいて、巧みに人を操る悪魔のような、そんな笑顔だった。

 

「お前、夢中で腰振ってたもんな……そりゃあ気がつかねえよな……」

 

くく、と承太郎はひどく可笑しそうに笑う。どうして、と絞り出したぼくの声は震えていた。ぼろぼろと勝手に涙があふれ出す。承太郎はうっとりと微笑み、ぼくの顎を手で取って上向かせる。

 

「ああ、花京院。おれはその顔が見たかった」

 

だがまだビデオは終わってないぜ、と承太郎は力の抜けた僕を抱きかかえると、テレビの方を向かせた。場面はちょうどぼくが絶頂を迎えた所で、プツン、と一度テープの切れる音がした。

 

そうして次に画面に映ったのは、後ろから承太郎に犯される彼女の姿だった。

 

「……!!」

 

最初、ぼくは彼女が承太郎に無理矢理レイプされているのだと思った。しかし、画面に映る彼女の顔は、発情した女の顔だった。男の与える快楽に酔いしれ、あられもない叫びを上げ、彼女は全身で悦びを表現していた。

 

ああ、ああ、と甲高い声を上げ、彼女はぼくに抱かれている時よりもずっといやらしく、激しく身を捩っていた。JOJO、と最後に承太郎を呼び、彼女は全身を痙攣させて絶頂を迎えた後、ぐったりと体を弛緩させ、それからカメラに向かって告白を始めた。

 

「か、花京院君……ごめんなさい……私は、JOJOに一度でいいから抱かれたくて……それで、花京院君とセックスしたら、一回だけ抱いてやるって言われて……それで、それで……わたしは……」

 

がくがく、と知らずぼくの体は震えていた。そこから先は、ぼくにはもう何も聞こえなかったし、ぼくの目にも何も映らなかった。夏だというのに体が冷え切っていて、手足が痺れて力が入らない。

 

「花京院」

 

名前を呼ばれて、ぼくはのろのろと承太郎を見上げる。かわいそうに、と彼は子供を慰める母親のような慈愛に満ちた声でそう囁き、ぼくの体を抱きしめた。

 

「あんなひどい女のこと、おれがすぐ忘れさせてやるからな」

 

そう言って、彼はやさしくぼくにキスをし、それから一つ一つじっくりと丁寧に制服のボタンを外し始めた。肌の上をなぞる承太郎の手は、傷を労わるように繊細で、燃えるように熱い。きゅう、と乳首をつままれて、ずくりと下腹が痺れる。

 

「やめてくれ……」

 

弱弱しく彼の胸を押しのけようとするが、承太郎はびくともしない。おれに任せろ、何も考えるな、と彼は繰り返しぼくの耳に囁く。次第に彼の手はどんどん下へ伸びてゆき、とうとうぼくのペニスに辿り着く。承太郎は何度かそれを扱いたが、ショックが大きすぎて、ぼくの性器はちっとも反応しない。

 

「まあいいか、こっちはもう二度と使うことはねえだろうからな」

 

後ろで感じればいい、と承太郎はよくわからないことを呟き、ぼくの尻の間に手を伸ばした。ぬるぬるとした液体がそこにかけられ、熱く硬い何かが押しあてられても、ぼくは抵抗する気も起きなかった。

 

いくぜ、と熱っぽく囁かれ、蛙のように開かされた脚の間に彼が入り込んでくる。体を割り開かれ、内臓を押し上げられて、あ、と思わず声が漏れた。

 

「あ、あ、ああ……あ、つい……じょ、たろ……」

 

ぱんぱん、と乾いた音を立てて腰を打ちつけられ、下腹がどんどん重く、熱くなる。ごうごう、と血液が全身を巡る音が、耳の中でリフレインする。体中が熱くて、ちっとも自分の思い通りにならなくて、犬のように舌を出して短い呼吸を繰り返す。苦しいのか、痛いのか、気持ちいいのか、熱いのか、よくわからない。もう何も考えたくなかった。

 

かきょういん、と承太郎はぼくに覆いかぶさり、何度も激しく突き上げながら、ひどく甘い声でぼくを呼ぶ。すきだ、と繰り返し呪文のように囁かれ、頭がぼうっとする。すき、すきってなんだっけ。わからない、わからないけど、承太郎がそういうなら、そうなのだろう。彼は絶対だ。

 

さっきからなんだか体がふわふわして、落ち着かない。ぼくの口から、ぼくのものとも思えない、女の子みたいな声がずっと漏れてしまう。ああ、ぼく、どうしちゃったんだろう。

 

「ああ、あっ、あ、ひ、ひぃっ、ひんっ」

 

ぐっ、と一際奥を穿たれて、瞼の裏で光がスパークする。がくがくと体が痙攣し、一瞬息をするのを忘れる。それからゆっくりと、腰のあたりで温かい湯が広がるような感触がある。

 

「花京院……」

 

お前はこれからずっと、おれのものだ、と承太郎が囁く。何にも心配することはねえ、お前は何にも考えず、おれに愛されていればいいんだ、と。

 

ぼくは言いようのない幸福感に包まれ、ぼんやりとした意識のまま、それでもうん、と彼に応えた。


 

おしまい

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